公開日:2022.04.15
壁紙を中心に幅広いインテリア商材を扱うオンラインストア、壁紙屋本舗。
実は本拠地である大阪に、誰でも気軽に足を運んでいただけるモデルルームがあることをご存知でしょうか?
ホンポで取り扱う壁紙や床材、ペンキなどを使い、築年数の経った集合住宅の一戸を丸ごとリノベーションしています。
場所は、大阪市大正区のUR千島団地3号棟内。
2016年に運営拠点が大正区へ移転したことをきっかけにUR千島団地とのご縁が生まれ、3号棟の1階にショールーム「壁紙屋本舗LAB」を、3階の一室にモデルルームを新設しました。オープン当時も、商材選びから施工まですべてホンポのスタッフが手掛けています。
これまで多くの人に見て、触れて、楽しんでいただきましたが、およそ8年の時を経てインテリアのトレンドも多様に広がり、ホンポにもたくさんの新しいスタッフが加わりました。
そこでこの度、フレッシュなホンポスタッフたちで新モデルルームを丸ごとリニューアルするというプロジェクトが立ち上げられました。
この記事では、一新したモデルルームの様子、使用された商材や施工の工程などをご紹介したいと思います。
BEFORE|旧モデルルームのコンセプト
新しいモデルルームをご紹介する前に見ていただきたいのが、リニューアル前のモデルルーム。壁紙や床材を変えるだけで、同じ間取りの空間の印象がガラリと変わっていく様子をリアルに感じていただけると思います。
旧モデルルームのコンセプトは、イギリスの街並みに憧れる女性の一人暮らし。
床などにポップな要素を取り入れつつ、全体的に落ち着いたトーンでまとめられています。
ヨーロッパで見られる煉瓦造りの街並みをイメージしてレンガ柄の壁紙を、またイギリスの象徴的なデザインであるウィリアム・モリスの壁紙も使用されています。
今回と同様、当時のホンポスタッフたちがアイテムの選定から施工まで、全ての工程に携わり完成させました。
AFTER|新モデルルームのコンセプト
さて、トーンも雰囲気も一新した新モデルルームのコンセプトはこちら。
海外のカラフルな街並みや雑貨が大好きな、社会人5年目(職業:グラフィックデザイナー)になる女性の一人暮らし。
かなり具体的です。
海外に憧れるという点では旧モデルルームと重なるところがありますが、同じキーワードから思い描く部屋の雰囲気も千差万別。
白い壁をベースにカラフルな要素を効果的に盛り込んだ辺りは「さすがグラフィックデザイナーのお部屋!」という仕上がりに。海外のカラフルな街並みに憧れ、かわいい雑貨や小物が大好きな人物像が伝わってくる空間になりました。
それでは各部屋の様子をご紹介したいと思います。
モデルルーム(団地)の間取り
モデルルームの元々の間取り図がこちら。
1970年代に建てられたUR千島団地は、昭和の集合住宅によく見られる1DK〜3DKまで色々なタイプの部屋があります。壁紙屋本舗のモデルルームは2DKの間取り。
旧モデルルームの頃から、和室の一つをキッチン・ダイニングとつなげ、リビングのように使用しています。空間を細かく仕切らず、現代の住宅で主流となっているLDKのように利用することで開放的な雰囲気に。
一人暮らしで1LDKなんてちょっと贅沢に感じる方もいるかもしれませんが、築年数の経った物件は、広めの間取りでも家賃を抑えられるというメリットがあります。
駅からの距離、築年数、周辺環境など物件を選ぶ条件は人それぞれ。広い部屋で暮らしたいという優先度が高い場合、築古の賃貸住宅は狙い目です。
古い住宅のレトロな雰囲気を生かしたインテリアもすてきですが、今回は本気で「団地っぽくない部屋」を目指しました。
各部屋の紹介
キッチン
まずは、玄関を入ってすぐのキッチンから。
今回のリノベーションで大きく変えたのは流し台下や上部の収納部分の扉の色と床材です。床材はクッションフロアを使用し、リビングも含め一つのデザインで統一しました。
流し台の扉部分は落ち着いたネイビーのペンキ一色で統一。白いスクエアタイルや周囲の鮮やかなカラーの中で空間を引き締めてくれています。
白いスクエアタイルはUR千島団地が建設された当初からのオリジナル品。正真正銘のレトロアイテムですが、近年のスクエアタイルデザインの人気で今っぽく見えるポイントになりました。
リビング(ダイニング+和室1)
DK(ダイニング・キッチン)のスペースと和室1をつなげて、12畳を超える広々としたリビングダイニングに。
隣の部屋との境にあるふすまに貼ったのは、日本のデザイナーとコラボレーションした壁紙を展開しているWALLTZ(ウォルツ)の壁紙。コンセプトの「グラフィックデザイナーとして働く女性」らしいセレクトに。
カラフルなデザインが空間全体のアクセントになりました。
以前のモデルルームではクッションフロアを2種類使用していましたが、今回は全体をヘリンボーン柄のクッションフロアで統一しました。空間に一体感が生まれ、より広く感じられる仕上がりに。
白い壁を基調とし、和室との境目に設置された天井部分の間仕切りには鮮やかな赤いペンキを。
パキッとした原色を効果的に使うことで、まさに海外インテリアのような雰囲気を出すことができました。
- リビングを含め全体的に無地のアイテムをセレクトしましたが、ふすまに花柄のデザインを取り入れたことでいいアクセントになりました。花柄のデザインにもレッド、イエロー、グリーンが使われているので、それぞれの部屋のポイントカラーとも上手く馴染ませることができました。
- 壁の色はグレーとホワイトでシンプルにまとめましたが、赤いペンキで塗ったフレームなど、ポイントカラーを取り入れることでインパクトを出すことができました。
趣味ルーム/ベッドルーム
こちらはベッドルーム兼、趣味の部屋。コンセプトは「大人の子供部屋」。
間取り図を見ていただくと分かるように、元々押し入れだったスペースをベッドとして活用しています。
押し入れの下の部分は従来通り収納スペースとして使用し、中板から上をベッドに。空間を広く活用できるアイデアですね。
鮮やかなオレンジの壁紙を貼るとすてきな睡眠スペースになりました。開放感もありつつ、囲われた空間なので落ち着いて眠れそうです。
部屋の壁面にはオレンジとの相性最強の鮮やかなグリーンのペンキを。
リビングからも視界に入りやすい奥の壁面にホワイトがベースになった方眼紙柄の壁紙を使用することで、白を基調としたリビングとの統一感も生まれました。
壁にはポスターを貼り、かわいい小物もたくさん置いて、遊び心のある空間に仕上げています。
- 方眼紙デザインの壁紙で、デザイナーの部屋というコンセプトに沿った雰囲気を作ることができたと思います。
- 押し入れに明るい色の壁紙を貼ることで、薄暗いイメージの払拭に成功!上段をベッドとして利用することでで限られたスペースを上手く活用することができました。
- デスクは趣味や仕事に没頭できるようにサイズの大きいものを取り入れたかったのですが、予算内でいいものが見つからなかったので自分たちで製作しました。DIYサイトを参考に、イメージ通りに仕上がって大満足です!
洗面所
最後は、キッチンに隣接した洗面所。
実はこのイエローの壁紙は、唯一以前のモデルルームから引き継いだもの。
パキッとした赤やグリーンとの相性が良く、このリノベーションのためにセレクトされたかのような馴染み具合。
そこに合わせた床材は、レトロなタイル柄がデザインされた床用リメイクシートです。
壁紙シールと同じようなシール素材で、テープやのりなどが不要なお手軽アイテム!裏紙を剥がせばそのまま施工できます。
モノトーンのデザインとイエローの相性もばっちりですね。
- 他の部屋には木目やコンクリートなどシンプルなデザインの床材を選びましたが、洗面所にのみ柄物を取り入れることで空間に区切りができ、いいアクセントとなりました。
新モデルルームの使用アイテム一覧
各部屋に使用した壁紙や床材、ペンキなど主要部分のアイテムをご紹介!
壁面を装飾しているポスターなどのアイテムは室内を装飾するインテリアで取り上げています。
キッチン
リビング(ダイニング+和室1)
リビングの壁
グレーの壁紙
リビングの梁下の壁には薄いグレーのアクセントクロスを。ホワイトと共に空間のベースカラーに。キッチンの壁にも使用しています。 ※取り扱い終了
趣味ルーム/ベッドルーム
趣味ルームの壁
罫線デザインの壁紙
白地に薄いブルーで罫線の描かれた、方眼紙デザインの壁紙。デザイナーの趣味ルームにぴったりとハマっています。※取り扱い終了
ベッドスペースの壁
オレンジの壁紙
元々押入れだった空間を活用したベッドスペースには、オレンジの壁紙を。趣味ルームのグリーンとの相性も最高◎ ※取り扱い終了
洗面所
洗面所の壁
黄色い壁紙
唯一、以前のリノベーションの状態を引き継いだ黄色い壁紙。窓のないスペースでも明るい雰囲気に。※取り扱い終了
室内を装飾するインテリア
モデルルームに置かれている家具や、たくさんのインテリア小物。部屋のイメージに合わせて、主にIKEAやフライングタイガーで購入しました。
壁面のアクセントとなっているポスターは、壁紙屋本舗のオリジナルアイテムです!
種類豊富に展開されているので、ぜひお気に入りの一枚を探してみてください。
FLAX ART POSTER
ベッドスペースに貼ったのは、亜麻素材のポスター。植物由来の素材で、布のような質感のポスターです。
のりで全面を貼り付けることもできますが、テープで貼るだけでもおしゃれ!
Hattan Art Poster
200種類に迫る豊富なデザインと4つのサイズ展開。通常ポスターは紙素材ですが、水に濡らして貼って剥がせる壁紙の素材でできた新感覚のポスターです。
額縁も不要で、壁に穴を開けずにポスターを楽しむことができます。
その他/テープや下地処理などに使用したアイテム
今回のリノベーションでは、以前貼ってあった壁紙や床材を剥がし下地の処理から始めました。
そんな時に活躍する縁の下の力持ちアイテムもご紹介!
商品ページへのボタンに(※)が付いているアイテムは、壁紙屋本舗・楽天市場店へ移動します。
これからセルフリノベーションに挑戦する方へ(施工スタッフより)
今回のモデルルームのリニューアルプロジェクトには、入社1~2年目の20代前半のスタッフ男女計8名が関わりました。
中古物件をリノベーションするのはもちろん初めてのスタッフたち。
コンセプトを練り、入れ替わり立ち替わり施工に携わり、全員が口を揃えたのは「下地処理の大変さ」でした。
今回のモデルルームリニューアルは、以前のリノベーションで貼られた壁紙や床材などを一度リセットする必要があったため、そのままの状態に加えていくリノベーションより手間がかかっています。
中心的に関わった4名のスタッフに、実際に施工して感じたことや、これからセルフリノベーションにチャレンジしようと思っている人に伝えたいことを聞いてみました。
準備や施工のご参考になれば幸いです。
施工して気づいたリノベーションのポイント
01|最大限活用したい、サンプル
- それぞれ配色を決めるのは難しかったですが、壁紙やペンキのサンプルを現地で見たり合わせたりすることで上手くイメージを膨らませることができました。
実物の色味や柄を確認するのは、とても大切!
サンプルを活用することで、失敗のリスクを減らせると思います。
02|下地処理の重要性
- 全工程の中で、下地処理に一番時間や労力がかかりました。
- 下地処理はその後の全ての工程に影響するので「地味な作業ほど抜かり無く」を心がけてみてください。
03|壁紙の厚みも重要なチェックポイント
- 凹凸や障害物のある箇所の施工は、薄い国産のビニール壁紙を使うと、表面に影響するうえ破れやすいことが分かりました。
サンプルを取り寄せる際は壁紙の厚みもチェック!
輸入壁紙やフリース素材の壁紙は、ビニール壁紙に比べて丈夫で破れにくいです。
04|畳の上にクッションフロアを施工する際の注意点
- 畳はフローリングなどの床に比べてやわらかいため、端をカットする際に不安定でラインがズレやすくなります。地ベラをできる限り奥に押し込んでカットするなど工夫が必要です。
- クッションフロアを敷く前にきっちり掃除することで、カビの発生リスクを減らすことができます。ちなみに、2016年に直に敷いたクッションフロアを剥がしてもカビなどは発生していませんでした。
- 畳の上に直接クッションフロアを敷くと、クッションフロアの裏地(グラスウール)のチクチクが畳に残るので要注意。心配な場合は市販の防カビシートなどを活用することで、カビの心配も軽減でき一石二鳥かもしれません。チクチクが無いタイプのクッションフロアもあります。
05|ペンキの効果と、きれいに仕上げるコツ
- ペンキを塗る際の養生は抜かりなく!
- 窓枠や天井の縁など細かい部分を全て白いペンキで塗ったことで、統一感を出すことができました。こうした一手間が完成度を左右するということが分かりました。
- 部屋の一部分に好きな色を一色取り入れるだけで、好きな雰囲気を作ることができます。
- ペンキはきちんと重ね塗りすることで塗りムラが目立たずきれいに仕上げることができます。ペンキの発色は色によって違い下地の色も影響するので、最低でも2度塗り、多いところでは5度ほど重ね塗りしています。
施工を終えたスタッフより一言
施工では、クッションフロアのジョイントカットなどをがんばりました!
みんなでIKEAに買い出しに行ったり、家具を運んだり、一つ一つの工程をコツコツと積み重ねて完成したモデルルームです。壁紙が3、4枚重なっているところの下地処理や、部屋の水が出なかったことなど大変なこともありましたが、いい思い出がいっぱいです。下地の処理は手を抜かずにしっかりとやってください。
施工では、ブレーカー周りなどの障害物が多い部分の壁紙施工をがんばりました。
自分の手で施工することで、自分の部屋ではないのにすごく愛着が湧き、お気に入りの場所になりました。モデルルームのリニューアルをきっかけに自分の家の棚も色を塗ってみたのですが、雰囲気が変わってもっとお気に入りになりました。大変な部分もありましたが、少しずつ出来上がっていく部屋を見ていると完成が楽しみで、やる気につながると思います。
特に趣味ルームの緑とオレンジのコントラストがお気に入りです。一室丸ごとリフォームできて、自分の理想のお部屋にどんどん近づいていく過程がとても楽しかったです。自分でこのまま住みたくなるぐらいいい部屋ができたと思います。古い団地でも、工夫次第でどんなインテリアにでも変身できると思います。
おわりに
築古の団地を舞台にした、壁紙屋本舗モデルルームのリニューアルプロジェクト、お楽しみいただけましたか?
本格的なリノベーションは初挑戦のスタッフたちが、あーでもない、こーでもないと試行錯誤しながら完成させたお部屋です。
今回証明できたのは、フルリノベーションは「初心者でもやればできる」ということではないでしょうか。
このモデルルームは、2022年3月に千島団地で開催された「大正クラフトライフマーケットMini」でお披露目されたのですが、実際お部屋を見てくださった方からの反響も大きく、壁面のインテリアに使用したHattan Art Posterがイベント会場で売り切れとなりました。
記事だけでは伝えられないことがあると思いますので、可能な方はぜひリニューアルした壁紙屋本舗のモデルルームに遊びにきてください!
UR千島団地の現地案内所からご案内が可能です。
所在地:〒551-0003 大阪府大阪市大正区千島2丁目4 千島団地3号棟1階
電話番号:06-6554-1280
営業時間:10:00~17:00
休業日:水曜・年末年始
また、こちらの記事では取り上げていませんが、リノベーションに必要な施工道具について知りたい方はこちらの記事をご参照ください。
自分にもできる「すてきなお部屋作り」の後押しとなれば、スタッフ一同うれしく思います。