自宅のDIYにおいてクッションフロアやフロアタイルなどの床材を施工する場合、「堂々の初挑戦」もしくは「以前少し扱ったことがあります」に毛が生えた程度のスキルで挑む場合がほとんどだと思います。
慣れない我々にもやさしいアイテムがたくさん出回るようになってきましたが、ちゃんと測ってカットしたはずなのに数ミリ合わない、微調整するうちに切り過ぎてしまった・・・など小さな失敗はつきもの。
この失敗による隙間、気にしないと思えば思うほど気になってしまう厄介な存在です。
床材と床材の継ぎ目、壁と床材の境目部分はほんの少しの隙間でもどうしても悪目立ちし、そこから汚れなどが入り劣化する心配もあります。
継ぎ目のラインや小さな隙間の見た目を整え、汚れの侵入防止や剥がれ予防など補強の役目も担ってくれるアイテムが、今回ご紹介するコーキング剤。
ほんとにコレ、あるのと無いのでは大違い!と声を大にして言わせてください。
近頃とり憑かれたように自宅にクッションフロアを敷きまくっている筆者にとって、これ無しでの施工は考えられないほどのマストアイテムであり心強いバディとなっています。
これから床の施工にチャレンジしてみようという方、もしくはすでに施工は終わったけど出来栄えに納得できていないという方は、ぜひ、こちらのページを読み進めていただければと思います。
そもそもコーキング剤とは
もともとコーキングという言葉には、「詰め物をする」や「隙間を埋める」という意味があります。
キッチンや洗面所などの水回りで、壁と台の境目などが白いゴムのような物体でふさがれているのを見たことがあるという人は多いはず。
それがズバリ「コーキング剤」です。
壁や床の防水性や気密性の向上を目的としてプロの現場でも使われる必須アイテムなんですね。
「シーリング材」と呼ばれることもあり、この2つに大きな違いはありません。
コーキング剤は、乾燥前はねっとりとしたペースト状の物体。
チューブから搾り出して溝や隙間の箇所を埋め、固まった後に防水や補強の効果を発揮します。
壁紙屋本舗では壁用のコーキング剤と床用のコーキング剤を販売していますが、両者の違いは強度!
主に壁紙の継ぎ目に使用する壁用コーキング剤に比べ、踏まれる圧力もかかりやすく汚れやすい床用コーキング剤の方が当然強度を必要とします。
強度に比例し、床用コーキング剤の方がお値段も少しお高め。
ペーストの状態で触るとどちらも同じような手触りですが、乾燥後の強度や耐性に差があるので施工場所に合ったコーキング剤を選ぶことをおすすめします。
壁紙屋本舗の床用コーキング剤
壁紙屋本舗で販売中の床用コーキング剤をご紹介します。
アースコーク
おおよそのフローリング材の色を網羅できそうな木材系のベーシックカラーに、淡いパステルカラーを含んだスタンダードな全24色。
色展開 | 24色 |
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内容量 | 200g |
表面乾燥時間 | 約3時間 |
完全硬化時間 | 約24時間 |
使用目安 | 約35m(2mm径)、約20m(3mm径) |
ホルムアルデヒド放散量 | F☆☆☆☆取得 |
施工時のにおい | ほとんど無い |
特徴 |
|
コーキングの先を切る時は・・・
一般的に、コーキング剤の先は使用者がコーキングを打ちたい巾に合わせて自分でカットする仕様になっています。普通のハサミでは切りづらいので、カッターで切るのがおすすめ。
普通にまっすぐ切り落としても問題ないのですが、筆者のおすすめは斜め45°カット。(ブルーの点線のラインくらいのゆるやかな角度)
少し角度がついていた方がコーキング剤を注入しやすくなります。
使いやすい角度が人によって異なる場合があるので、使いながら微調整してみてくださいね。
また、商品の種類によってノズルからコーキング剤の出るスムーズさが異なります。切り過ぎたら元に戻せないので小さ目のカットから試していきましょう。
開封後の保管方法
開封してしまったコーキング剤を一度で使いきれるといいのですが、残ってしまう場合も多いと思います。
数日程度であれば付属のキャップをしての保管で問題ありませんが、開口部やノズル部分は普通にキャップをしているだけだと時間と共に固まってきやすい部分。
絶対的な方法ではありませんが、おすすめの保管方法をご紹介。
おすすめの保管方法
開口部と同等の太さがあるネジなどを開口部から差し込んでおくとノズル部の固まりが軽減されます。少し入りにくいくらいの太さがある方が密閉性が高まります。無理やり挿入すると開口部が広がるので注意。ネジごと固まってしまったらペンチ等を使って引き抜きましょう。
開口部がある程度大きい場合は、キャップを逆向きに挿入する方法もあります。
ノズル部分が固まってしまったら
がんばって密閉したにも関わらず固まってしまった場合は、以下の方法を順に試してください。
- 指先で固まった部分を取り除く。(これで解決したらラッキー)
- クギやアイスピックのような細長いものをノズルに差し込んでほじくり、コーキング剤の出てくる道を作る。(手堅い方法です)
- ノズル部分を外して裏からお湯を流し、先のとがったもので突き固まりを取り除く。(最終手段)
中までカチカチに固まることはそうそう無いはずなので、ノズル部さえ上手く攻略できれば開封後数か月~1年程度は使用することができます。(※保管場所の温度や湿度、保存状態により変わります。)
実際筆者は、1本のコーキング剤を数ヶ月間にわたり使い回しています。
実験!床用コーキング剤は剥がせるのか
壁紙屋本舗で販売している床用コーキング剤を、壁紙とフロア材の上で完全に硬化させ、剥がすことができるのか実験してみました!
白いペーストがアースコーク、緑のペーストがcolor RITE(※取り扱い終了)です。
実験結果
国産壁紙×床用コーキング剤
日本の住宅に広く普及している一般的な国産壁紙の上に床用コーキング剤2種を塗ります。
24時間乾燥させ剥がしてみると・・・
若干細かいカスが残るものの、どちらもぴろぴろとキレイに剥がせました。
貼るだけフローリング×床用コーキング剤
同様に、以前に壁紙屋本舗で販売していた「貼るだけフローリング」でもトライ。
こちらもキレイに剥がせます。
乾かないうちに拭き取ると・・・
乾燥前に拭き取る方が厄介な結果になったりするのでしょうか。
白い壁紙の上に、色味の強いコーキング剤を伸ばしおしぼりで拭き取ってみます。
キレイに拭き取れますが、エンボスの小さな溝にわずかに色が残っている様子。
同色のコーキング剤を使った場合はほぼ分からないと思いますし、表面の平坦な素材の場合は問題なくきれいに拭き取れます。
クッションフロアの裏地
クッションフロアの裏地はグラスウールという素材が含まれており、少しモケモケとしています。手触りは荒めの画用紙といった感じ。
壁紙や床材と同様にコーキング剤を1日乾燥させ剥がしてみます。
コーキング自体は固まりとして剥がせましたが、薄い部分は素材上に残りやすく、厚みのある部分は裏地も一緒に剥がれてきました。
クッションフロアを施工してコーキング剤を使用した後剥がす場合は、下地の壁と床からはキレイに剥がせてもクッションフロアの裏には多少のダメージが生じると言えそうです。
実験結果からの考察
今回の実験でコーキング剤がキレイに剥がせた壁紙とフロア材の表面は、いずれも塩化ビニールでした。
コーティングや樹脂加工がされた内装材、プラスチックなどの上だとキレイに剥がせる可能性が高いといえます。
一方、キレイにが剥がせなかったクッションフロアの裏地は、コーティングがされておらず水分を吸収しそうな素材。和紙素材の壁紙、無垢の木材などの上では、コーキング剤のカタマリは除去できたとしても素材を傷めるか、上の写真のように色が付着し取れなくなるリスクが否めません。
賃貸物件など原状回復の必要がある場合、強度は落ちますが下地にマスキングテープを貼って施工する方法もあります。
次のビフォー・アフターでも少しご紹介しているのでご参照ください。
- 今回の実験は24時間の乾燥後に行ったため、長期間にわたる使用後の結果と異なる可能性があります。
- 実験と同じ素材でも表面の状態によりきれいに剥がせない可能性があります。
使用するとこんなに違うビフォー・アフター
それでは実際にコーキング剤を使ってみましょう!
クッションフロアの継ぎ目に
クッションフロアを施工する際、トイレなど限られたスペースの場合は1枚で敷けることもありますが、ある程度広さがあるスペースの場合は何巾かに分けて敷くことになります。その巾と巾の間に生じるのが「継ぎ目」。
色や柄によっては継ぎ目のラインがくっきりと見え、何だか残念な気持ちになってしまいますよね。
この継ぎ目にコーキング剤を使ってみます。手順は以下の通り!
- コーキング剤を施工する両側をマスキングテープで養生します。
- 継ぎ目の上にコーキング剤を絞り出していきます。
- ヘラなどでコーキング剤を継ぎ目に埋めるように伸ばします。
- 乾かないうちにマスキングテープを剥がします。
- 乾いたら完成!
BEFORE
ご覧の通り、見た目の印象がだいぶ改善されました。
柄や素材に合わせて色を選ぶと完成度が大幅にアップ。あえて全く違う色を使ってアクセントにしてするのもアリかもしれませんね。
小さなごみやホコリの侵入防止にもなります。
壁際の隙間に
床材施工の難関は、空間の一角にラスボス的に出現する入り組んだ形の場所。
慎重にカットしても、壁との間に隙間ができてしまいがちなポイントです。
▼こんな風に・・・(頭髪むしりたくなるやつ)
こういった場所でもコーキング剤は大活躍!ちょっとくらいの隙間はコレさえあればへっちゃらです◎
壁との境目は床材、もしくは壁(巾木)の色に合わせてコーキング剤を選ぶといいですね。
コーキング剤の縁を養生します。
フロア材の上についたコーキング剤は、乾くまでは湿った布やおしぼり等で簡単に拭き取れるので今回は壁際だけ養生。
縁をまんべんなく埋め、ヘラ等で伸ばしたら完成!養生していない位置にコーキング剤が広がった場合は、乾く前におしぼり等で拭き取ってください。
コーキング剤を指の腹でなでると、とても滑らかな仕上がりになります。
※ゴム手袋等を着用するか、乾く前に洗い流してください。
コーキング剤を打つ箇所の下地部分にマスキングテープを貼って施工するとキレイに剥がすこともできます。
ただし、マスキングテープの粘着力は弱く水気等で剥がれやすいので継ぎ目処理としての強度はかなり弱まります。
AFTER!
まとめ
今回は床のコーキング剤にスポットを当ててご紹介してきましたが、ポイントをお伝えできたでしょうか?
どんな人におすすめのアイテムか、おさらいです。
- クッションフロアやフロアタイルなどの床材を自分で施工する人
- 見た目の仕上がりをワンランク上にしたい人
- 施工した床材をより長くいい状態で保ちたい人
これ、自宅のDIYに取り組むほとんどの皆さまに当てはまるのではないでしょうか。
床のコーキング剤は「初心者だけどやるからには完成度を高めたい!」という人にとって、とても心強いアイテムです。
これから床材施工を検討する際は、ぜひコーキング剤の入手も一緒に検討してみてください。
また、すでに施工を終えた場合も補強や今後の補修にお役立てください。
最後までお読みいただきありがとうございました!