デザインが豊富でコストパフォーマンスに優れたクッションフロアは、賃貸でも使用でき、手軽に部屋の雰囲気を変えられる床材として、セルフリフォームやDIYで人気のアイテムです。
しかし、メリットがある一方で、当然ながらデメリットも存在します。
例えば、他の床材と比べると耐久性が低い点や、湿気がこもりやすい素材のため環境によってカビが発生してしまう点などです。
「クッションフロアを敷いて失敗した!」と後悔しないよう、クッションフロアのデメリットや、施工する際・施工後の注意点をしっかり理解した上で使用するようにしましょう。
クッションフロアとは
クッションフロアとは、表面がビニール素材でできたシート状の床材です。
クッション性(発泡層)のある柔らかい感触で、サンゲツや東リといった内装材メーカーから、木目柄やタイル柄、コンクリート柄など幅広いデザインが展開されています。
幅が約180cmほどある大判のシートで、リビングや寝室など広いスペースも一気に施工することができます。
表面に凹凸(エンボス)の加工が施されているデザインも多く、木目やタイルのような立体感が表現されています。
ダークな木目のヘリンボーン柄クッションフロア
壁紙屋本舗では、扱いやすいハーフサイズ(約90cm幅)のクッションフロアも選べ、トイレや洗面所、廊下などコンパクトなスペースの施工に最適です。
一般住宅での使用に最適な「住宅用クッションフロア」は約1.8mm程度の厚みがあり、土足でも使用できる「店舗用クッションフロア」は約2.3〜2.5mm程度の厚みがあります。
価格は店舗用の方が上がりますが、土足にも対応でき、住宅用に比べて耐久性が高いのが特徴です。
いずれも、他の床材と比較すると、リーズナブルな価格で購入することができます。
壁紙屋本舗では、シールタイプのクッションフロアを販売しています。大きな特性はメーカー製のクッションフロアと似通っていますが、サイズや表面の質感、価格帯など異なる点があります。
本記事は、メーカー製のクッションフロアについてまとめたものになります。
クッションフロアのメリット
初めてのDIYでも手軽に扱いやすいクッションフロア。
まずはどんなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
メリット 01|低コストで施工できる
クッションフロアの最大の魅力ともいえるのが、そのコストパフォーマンスの高さ。フロアタイルやタイルカーペットといった他の床材と比べると、大幅にコストを抑えて床をDIYすることができます。
インテリアの雰囲気を変えたくなった時や、汚れが目立ってきた時に、出費面でのハードルが低いのは大きな魅力です。
メリット 02|デザインの種類が豊富
クッションフロアはデザインの種類が豊富。インテリアの雰囲気や自分の好みに合わせて、木目柄やコンクリート柄、タイル柄など幅広いラインナップから選ぶことができます。
木材から作られるフローリングや、精巧なデザインのフロアタイルに比べると見た目のクオリティは劣るかもしれませんが、表面の凹凸(エンボス加工)やリアルなデザインで、さまざまな素材のテクスチャが巧みに表現されています。
メリット 03|広い面積でも手軽に施工できる
ブラックダイヤのタイル柄クッションフロア
施工のしやすさもクッションフロアの魅力です。
柔らかいシート状の素材なのでカッターやハサミで好きなサイズにカットでき、手軽に両面テープで固定できます。
広い面積も一気に施工することができ、DIY初心者にも扱いやすい床材です。
メリット 04|表面がビニール素材で掃除やメンテナンスが簡単
ブラックダイヤのタイル柄クッションフロア
クッションフロアの表面はビニール素材になっており、水や油などの汚れもさっと拭き取ることができます。お掃除やメンテナンスが楽なので、キッチンやトイレ、洗面所など水回りでの使用にも向いています。
メリット 05|クッション性があるので足腰の負担を軽減でき、防音効果も期待できる
木目のスクールパーケット柄クッションフロア
クッションフロアには程よいクッション性があり、足腰にかかる負担を軽減することができます。お年寄りや子ども、ペットなどのいるご家庭におすすめです。また、足音を軽減するなど、防音効果も期待できます。
クッションフロアのデメリット
クッションフロアのデメリットも詳しく見ていきましょう。
デメリット 01|傷がつきやすく凹みやすい
クッションフロアはやわらかくて施工がしやすい反面、表面に傷がつきやすく、上に置いた物の跡が付きやすい特徴があります。
一瞬置いた脚立の足の跡などは時間が経つと消えますが、重い家具などを長期間置いておくと、その部分が凹んだまま元に戻らなくなります。
家具を引きずって移動しようとすると、表面が破れてしまうこともあるため注意が必要です。
他の床材と比べると、耐久性の面では劣るといえるでしょう。
デメリット 02|沈着した汚れは落としにくい
クッションフロアの表面はビニール素材で汚れを拭き取りやすいのですが、一旦汚れが沈着したり変色したりしてしまうと、洗剤などを使ってもなかなか落とせません。
色やデザインによっては汚れが目立ちやすいため、こまめなお手入れが大切です。
デメリット 03|表面のテカリを安っぽく感じることがある
パーケットフロア柄クッションフロア ダーク
ビニール素材のクッションフロアは、デザインによって表面にテカリがあるため、人によって安っぽく感じてしまうことがあります。
木目や大理石など高級感あるデザインも増えていますが、実物を見て「イメージと違った」と思うことがあるかもしれません。購入前にサンプルを取り寄せるなど、自分のイメージ通りのものか確認してから購入するのがおすすめです。
デメリット 04|湿気がこもりやすくカビが生えることがある
クッションフロアはビニール素材のため、通気性がよくありません。湿気のこもりやすい環境や使用状況により、クッションフロアの表面や裏面にカビが生えることがあります。
クッションフロアを施工する前の掃除や施工後のカビ対策により、カビが発生するリスクを抑えることができます。
実際どうなの?!スタッフのクッションフロア体験談
Case 01.キッチンに白地のデザインは不向き?!
アルコールや洗剤などを使って黒ずみを拭きましたが、時すでに遅し。元通りにはなりませんでした。
その後キッチンボードを買い替える機会に、床材も貼り替え。きれい好きを自負する方以外には、キッチンに白地のクッションフロアはおすすめしません!(※個人の意見です)
Case 02.表面の凹凸(エンボス)に汚れがたまる
ある時床の拭き掃除をしていると、洗面台の前(よく素足で立つ場所)付近で、タイルの目地の色が違うゾーンを発見!
タイルの目地の色が黒ずんでいる…
拭き掃除用の洗剤で拭き取るとキレイに!
タイルの凹凸感が見た目には良いのですが、ケア面でのデメリットを感じた出来事でした。
クッションフロアにカビが生える原因と対策
クッションフロアにカビが生える原因
クッションフロアは、耐水性に優れている反面、通気性が良くありません。そのため、環境によってカビが発生してしまうことがあります。
きちんと換気ができる空間で、普段目に触れる表面部分にカビが生えてくることはほとんどありませんが、通気性が保てない家具との設置面や、水気の多いキッチンやトイレ、湿度が高くなりがちな洗面所などはカビが好む環境になりがちです。
結露や部屋干しが、カビの発生しやすい環境を作ってしまうこともあります。
表面に比べてカビが発生しやすいのが、クッションフロアの裏面です。
床に水や調味料などをこぼしたとき、クッションフロアの継ぎ目から下地に水分が染み込むと、なかなか乾かないためカビが発生する原因となります。クッションフロアと床面との間に溜まったホコリや皮脂、髪の毛などがカビの栄養となり繁殖してしまうこともあります。
クッションフロアのカビ対策
以下のような対策をすることで、クッションフロアにカビが発生するリスクを抑えることができます。
施工前の掃除
クッションフロアを敷く前に、床の汚れをきちんと掃除してしっかりと乾燥させてから施工しましょう。
防カビシートを使用
クッションフロアの下に防カビシートを敷いてから施工すると、カビの発生を抑える効果があります。
コーキング剤や継ぎ目処理剤を塗布
クッションフロアの継ぎ目を、床用コーキングや継ぎ目処理剤で埋めて、水分の染み込みを防ぎましょう。
水が染み込んでしまった場合は
クッションフロアの下に水分が染み込んでしまった場合は、クッションフロアを剥がして掃除し、きちんと乾燥させましょう。
和室を洋室のようにDIYしたい場合、畳の上から直接クッションフロアの施工を検討することがあるかもしれませんが、この方法はおすすめできません。
通気性が悪くなり畳の表面にカビが生えるリスクがあること、また、クッションフロアの裏地(グラスウール)のチクチクした繊維が畳の表面に残り、畳として再び使用することが難しくなるからです。
どうしても施工したい場合は、畳の表面をきれいに掃除してしっかりと乾燥させてから施行すること、また、クッションフロアと床の間に防カビシートを敷くことでカビ対策になるほか、畳にグラスウールが残るリスクも軽減することができます。
クッションフロアのカビを掃除する方法
クッションフロア表面のカビを掃除する方法
クッションフロアにカビが発生してしまった場合の、お掃除の方法をご紹介します。
以下のものを準備しましょう。
ハニカムモザイク柄クッションフロア
- 消毒用エタノール
- 中性洗剤
- 雑巾
カビを除去する際は、換気をしながら行ってください。カビを吸い込んだり手が荒れたりするのを防ぐため、マスクやゴム手袋をつけて行いましょう。
消毒用エタノールを使用する際は、火気付近での作業は避けましょう。
カビ取りの手順
カビ取りの手順をご説明します。
- 硬く絞った雑巾で床の汚れを拭き取ります。
- 消毒用エタノールをカビ周辺に吹きかけ、しばらく放置しましょう。
- 消毒用エタノールが乾いてきたら、薄めた中性洗剤を含ませた雑巾でカビを拭き取ってください。
- 洗剤が残らないよう、雑巾で水拭きします。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取り、しっかりと乾燥させてください。
カビが落ちにくい場合は、塩素系クリーナー(カビキラーやハイターなど)が効果的な場合があります。
手袋を着用し、漂白剤をカビの部分に吹きかけて数分待った後、雑巾で拭き取ってください。ただし、クッションフロアの素材にダメージが生じる可能性があるため、目立たない場所で試してから行うのがおすすめです。
クッションフロア裏面のカビの除去は難しい
クッションフロアの裏面は、汚れを落としやすいビニール素材の表面とは異なり、色素や汚れが沈着しやすい素材になっています。
こちらの画像は、カビではなくカラーコーキングを使った実験画像です。
クッションフロアの表面に付着したコーキング剤はきれいに剥がせましたが、裏面にはコーキングの色素が沈着していました。
カビの発生具合にもよりますが、繊維や発泡層の内部にまでカビが侵食している場合、拭き取って除去するのは難しいでしょう。
カビが広範囲に広がっている場合は、貼り替えをおすすめします。
下地の床をきれいに掃除し、しっかりと乾燥させた上で新しいクッションフロアを施工してください。
クッションフロアの裏面に含まれるグラスウールが肌に触れると、チクチクと感じ肌荒れの原因となることがあります。
特に肌の弱い方は、手袋や長袖を着用しての作業をおすすめします。
クッションフロアの普段のお手入れ
クッションフロアの普段のお手入れや、汚れ別の掃除方法をご紹介します。
シャビーグレーのモルタル柄クッションフロア
普段のお手入れ
汚れた場合はすぐに掃除するのが好ましいですが、普段は週2~3回を目安にお手入れを行うと、長くきれいな状態で使用することができるでしょう。
クッションフロアの表面に、ワックスなどのコーティング剤は不要です。
- 掃除機やほうきで大きなゴミやほこりを除去します。
- 硬く絞った雑巾やフロアシートなどで、全体を水拭きしましょう。
- 水拭きで取れない汚れがある場合は、薄めた中性洗剤を含ませた雑巾などで拭き取ります。汚れが取れたら、洗剤が残らないよう固く絞った雑巾で水拭きをしましょう。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取り、しっかりと乾燥させてください。
濡れた状態が続いたり洗剤が残っていたりすると、クッションフロアの表面が変色することがあります。水拭きや乾拭きはしっかりと行うようにしてください。
水滴や汚れがつきやすい場所には、あらかじめラグマットなどを敷いておくと汚れ防止の対策になるでしょう。
油汚れの掃除方法
水気やほこりのほか、油汚れが加わるキッチンやダイニングは、他の場所に比べると汚れやすい環境になります。
細かく飛び散った油汚れが床に吸着したままの状態が続くと、黒ずみや変色の原因になります。
- クッションフロアがベタついているときは、お湯に中性洗剤を溶かして薄めた液に雑巾を浸し、固く絞って拭き取ります。
- なかなか落ちないしつこい汚れは、ビニール床専用のクリーナーを薄めて拭き取ってください。希釈した洗剤を直接汚れの部分にスプレーし、スポンジや歯ブラシを使って落とすのも効果的です。
- 汚れが取れたら、洗剤が残らないよう固く絞った雑巾で水拭きをしましょう。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取り、しっかりと乾燥させてください。
黒ずみの掃除方法
クッションフロアの黒ずみの原因には、皮脂汚れや長年の汚れの蓄積、カビの発生などがあります。
クッションフロアの裏面に生えたカビが表面に現れた黒ずみの場合、表面をいくらこすっても落とせません。カビ以外の原因でも、一旦黒ずみが沈着してしまうとなかなか落とせないため、こまめなケアがおすすめです。
- 薄めた中性洗剤を雑巾に含ませて、硬く絞り床の汚れを拭き取ります。
- 汚れが取れたら、洗剤が残らないよう固く絞った雑巾で水拭きをしましょう。
- 乾いた雑巾で水分を拭き取り、しっかりと乾燥させてください。
こんな汚れは落とせない!
クッションフロアは、一旦変色してしまうと掃除をしても元に戻りません。
以下のような素材は直接クッションフロアに触れないよう、あらかじめ布や紙をかませておくことで変色防止の対策になります。
ゴムの色素がクッションフロアに移る「ゴム汚染」
椅子の脚や家具のキャスターなどに使われることがあるゴム製品の色素がクッションフロアに移り、変色することがあります。
家具や床材の裏面の防腐剤などによる変色
家具の底面や床材の裏面に塗られている防腐剤や防虫剤などの影響で、クッションフロアが黄色や濃い茶色に変色することがあります。
適切なケアをすれば、クッションフロアはインテリを楽しむ強い味方!
ほどよいムラ感のモルタル柄クッションフロア
クッションフロアは、低価格で購入でき、施工やメンテナンスが簡単なDIY用の床材として人気の高いアイテムです。
デザインが豊富なので、インテリアの雰囲気や好みに合わせて気に入った柄を見つけられるはずです。
ただし、表面の耐水性が高い反面、通気性が悪いため、適切なお手入れをしないとカビが発生してしまう場合があります。また、汚れを放置したり、ゴム素材を置いたりすると、変色して元通りにならないことも。
週2〜3回、掃除機をかけ、雑巾やフロアワイパーでの水拭きでクッションフロアの掃除を心がけると、長くきれいな状態を保てるでしょう。
水拭きした後は、しっかり水気を拭き取り乾燥させることが、カビを防ぐポイントになります。
他の床材に比べると耐久性が低いといわれるクッションフロアですが、適切なケアをすることで長い期間快適に使用できます。
クッションフロアのデメリットや弱点を理解した上で適切に使用すれば、お部屋の模様替えや好みのインテリアを気軽に楽しめる、心強い味方になってくれるでしょう。
しかし数年後、キッチンマットを敷いていない部分の床がかなり黒ずんでいることに気づきました。流し台にある補助照明の影だと思っていた色の差が、黒ずみだったなんて…