ここからは『セルフリノベの発信拠点「壁紙屋本舗LAB」』の【後編】です!
【前編】では、大阪「千島団地」にある壁紙屋本舗LAB(カベガミヤホンポ ラボ)(以下LAB)について、そのショールームとしての役割や、千島団地での位置付けについてお伝えしました。
【後編】では、千島団地に暮らすミュージシャン・KIM MORRIS(キムモーリス)さん宅にお邪魔し、ものづくりが好きでDIY精神にあふれた暮らしぶりをご紹介します。
LABや“DIY物件”のある個性的なUR「千島団地」。そこで実際に暮らす人の言葉から、セルフリノベーションの魅力やLABの立ち位置を、より具体的にお届けできるのではないかと思います。
目次
『セルフリノベの発信拠点「壁紙屋本舗LAB」』は、【前編】・【後編】に分けてお送りしています!
千島団地で暮らすシンガーソングライター・KIM MORRISさん宅をご紹介!!
お待ちかねのお宅訪問 in 千島団地。
今回訪ねたのは、ミュージシャン・KIM MORRISさんのお宅。2017年、大阪に拠点を移される際にこの千島団地に引っ越して来られました。
どんなリノベーションをして、どんな暮らしをされているんでしょうか。
まずはKIM MORRISさんのプロフィールをチェック!
関西在住のシンガーソングライター。
自らの音楽体験のルーツであるBlack Musicの感性をボトムに敷きながら、Surf MusicなどのOrganic Grooveを随所に散りばめた楽曲を制作。弾き語り、DUO、Band Setなど柔軟なプレイスタイルを駆使し、Cafe・Barや野外イベントでのLIVEを中心に活動のフィールドを全国に広げている。
これまでに、”Walking In The Street”、”Sevendays Clips”と2枚のフルアルバムをプライベートレーべル[ INK DROP MUSIC ]よりリリース。
DIY精神に溢れたセルフプロデューススタイルのミュージシャンとして、地方発信型のストリートカルチャーの形成に日夜力を注いでいる。
1986年、三重県生まれのKIM MORRISさん。
10代の頃にHIPHOPやSOULに触れたことをきっかけに音楽に興味をもち始め、本格的に活動をはじめたのは22~23歳の頃だそう。
楽曲制作やギター1本での弾き語り、デュオ、バンドなどさまざまなスタイルで音楽活動の幅を広げているアーティストです。
2017年にDIY物件に入居されたKIMさん宅のリノベーションに、ご縁あって壁紙屋本舗がご協力することになりました。それをきっかけに、壁紙屋本舗主催のイベント「大正クラフトライフマーケット」のステージにもたびたびご出演いただいています。
プロフィールを確認したところで、いよいよKIMさん宅へお邪魔いたします!
陽のよく入る明るい空間、白い木目の壁(…おっとこれはもしや壁紙!)と深いブラウンの床に映えるインディゴブルーのソファ。大切な楽器もインテリアのように馴染む、すてきなお部屋です。
奥さんと、もうすぐ2歳になる息子さんとの3人暮らし。
セルフリノベーションされたお部屋のことだけでなく、千島団地に引っ越して来たきっかけや、音楽活動のこと、暮らしのこと、いろいろ聞いてみたいと思います。
KIM MORRISさんに聞きました!~家のこと、暮らしのこと、大切にしていること~
まずは「KIM MORRISさん」のこと
ーはじめまして、壁紙屋本舗のウエマツです。今日はよろしくお願いします!では早速、KIMさんの音楽活動や現在の生活スタイル、ご家族について教えてください。
この3月で2歳になる息子は保育園に通っていて、嫁は週3~4日外で働いています。僕は楽曲制作やライブなど音楽活動のほかに、実はWeb関係の仕事もしてるんですよ。世界中どこにいても仕事ができる「ノマド」が目標なので、実現できるようにいろいろ動いているところです。
ーノマドですか!昔「ノマドライフ」という本が話題になったときに読みました。時間や場所にとらわれずに働く人のことをノマドワーカーと言ったりもするんですよね。
ワード解説!
「ノマド」とは
英語で「nomad」、本来は「遊牧民」や「放浪者」を意味する言葉。
近年は「定住地を持たず移動しながら暮らす人」という本来の意味から派生して、「時間と場所にとらわれずに働く人、もしくはそういった働き方」として使われている。
インターネットの発達により実現可能となった新しい働き方・生き方を表す言葉として注目を集め、2012年発行の「ノマドライフ(本田直之著・朝日新聞出版)」がベストセラーとなり、実業家・安藤美冬さんの“ノマドワーカー”としての生き方が「情熱大陸(毎日放送)」で取り上げられたことでも話題となった。
ー音楽活動をはじめた経緯は?
大阪の大学に通ってたんですが、ちょうどリーマンショックが起きて就活の厳しい時期で、なんとか入社した会社に馴染めず3ヶ月で辞めました(笑)もうこうなったら自分のやりたかったことにイチから挑戦してみようと、地元に帰って活動を始めたんです。
ー2008年頃のことですね。ほんとにあの時期は会社も就活生も大変でしたよね。私もちょうど就活中だったのでよく覚えています。もう10年も前のことになるんですね。
ー音楽をするうえで大切にしていることは?
やりたいことを常に追求しているということですかね。音楽に限らず、やりたくないことはやりません。今も、やりたかったスタイルの音楽をもう一度イチから始めるために少し活動の仕方を変えていこうとしているところです。
音楽をつくっていく上では、グラフィックとか文章とかクリエイティブなものに触れて刺激を受けるようにしていますね。
ーKIMさんはもともと芸術大学の出身なんですよね。もし今の仕事をしていなかったら何をしていたと思いますか?
そうですね~。もともと広告関係の仕事に興味あったんですけど、文章書いたり、イベントをしたりする仕事ですかね。基本的にものを作るのが好きですね。
ーこれが無いと生きていけない、というもの3つあげるとしたら?
これがないと生きていけないというか、これさえあれば生きていける!っていう3つが、「楽器」と「パソコン(&スマホ)」と「自転車」ですね。大阪に移ってきたときに車は手放しました。どこへ行くのも自転車です。これさえあれば完璧です(笑)
ーKIMさんの身軽さが伝わってくるアイテムですね。
「千島団地」のこと
ー大阪に引っ越して来る時にいろいろと物件を探されたと思うんですが、なぜこの「千島団地」に決めたんですか?
もともとURに住んでる親戚がいまして、こんな賃貸もあるって教えてもらったんですよ。アリかもなと思って案内所に行ってみたら、そこのスタッフさんがいい人で、いろいろ案内してもらって。
千島団地にしたのは、音楽スタジオがあったことと、DIY物件がおもしろそうで。
音楽スタジオのある物件を探してたわけでもないし、もともとDIYに興味があったわけでもないんですけど、こんなのありますよ~って紹介してもらったときに、直感で「おもしろそう!」ってなりました。音楽スタジオはまぁ当然なんですけど、DIY物件は、自分で住む場所を作ったりすることで、なんかおもしろい展開が生まれてくるんじゃないかなと思ったんですよね。
ー「千島団地」に住んでみてどんな印象ですか?
URって人の出入りが多くて、大きな集団生活してるみたいなイメージです。掃除のおばちゃんや営業所の人と挨拶かわしたり、顔を覚えてもらったり。普通のアパートとかではそういうのって無いじゃないですか。子どもがいるとなおさら安心できる空間というか、居心地がいいですね。
ー確かにそうですね。集合住宅だとお隣さんの顔も知らないってことが多いですよね。下の広場や公園など、お子さんの遊び場になる場所が周りに多いのもファミリー世帯には嬉しいポイントだと思います。
お部屋のこと、リノベーションと「壁紙屋本舗LAB」のこと
▼KIMさんのお宅 BEFORE
マンションやアパートで一般的な、白いビニルクロスとフローリングの床。
▼AFTER
壁は白い木目の壁紙を横貼りに、床にはダークブラウンのクッションフロア。コーナーに貼ったデニムの壁紙がすてきなアクセントに。
ー実際にお部屋に壁紙を貼ったりとセルフリノベーションしてみていかがでしたか?
結局DIYに取り組んだのは入居して1年くらい経った頃だったんですけど、前の部屋が思い出せないくらい変わりましたね。
僕、住む家を探すときに”この場所でいい作品ができるかな”って考えるんですよ。もともとこの部屋は明るくて好きだったんですけど、気に入る空間になることで、よりいい創作活動ができる気がするというか、いいものが生まれそうな気がするんですよね。単純にやる気も出ますし。
リビングとキッチンの間の仕切り戸/写真の商品(壁紙)はこちら>>
ー壁紙や床材はどのように選んだんですか?
自分たちのイメージを説明するのが難しくて、Pinterestなんかでイメージを探して具体化していきました。夫婦お互いに希望を出しながら、でもまぁ家にいる時間は圧倒的に嫁が長いわけですし、こだわりもあると思うのでそこはもちろん尊重して(笑)
ー壁紙を貼るのは難しかったですか?
嫁はさくさくやってましたけど、僕は難しかったですね~。
あ、ここは「案外カンタンでした、誰にでもできると思います!」って言わないといけないところですよね(笑)
初めてで、どんなものなのかまったく想像ついていなかったので、初めてチャレンジするときの感触は人によって全然違うと思います。
「壁の形に合わせて綺麗に貼る」のが難しかったんですね。いくら壁紙のデザインが素敵でも、「貼る」という工程で最終的なクオリティがかなり左右されることを実感しました。
壁紙屋本舗さんに手伝ってもらえたのは、ほんとに助かりました!
ー職人ではない私たちにも出来ることは間違いないですが、確かに、サクサク進められる部分と案外難しい部分がありますよね。キレイに仕上げるにはそれなりにコツが要ると思います。
LABで定期的に開催している「壁紙の貼り方教室」などのワークショップは、そういった実践のコツをつかみたい方たちに人気です。
夫婦協力しながら。
さくさく進める奥さまの様子を伺いながら。
ーセルフリノベーションする前と後で何か大きく変化したことはありますか?
壁と床、あとはドアとかを中心に取り組んだんですけど、リノベをすると手を加えた箇所以外のインテリアにもこだわるようになりました。例えば照明を変えてみたり、前の部屋には絶対合わなかったと思うんですけど、少しずついろんな部分のクオリティーがあがってると思います。
あと、リノベーションした後の方が人を家に呼びたくなるようになりましたね。
ーセルフリノベーションをしたお部屋に対する周囲の反応はいかがでしたか?
一番は、この壁が本物の木じゃなくて壁紙ってことにみんな驚きますね~。
ーほんとに壁紙の木目が窓枠にも床との境目の巾木にもよく馴染んでいますね!私も初めてこの壁紙を見たときは思わず凹凸があるのではと触ってしまいました。
ーここをもっとこうしたい、などのリノベ計画や願望はありますか?
まだ手をつけてない和室や、キッチンのタイルあたりもしていけたらいいなと思ってます。嫁は「ここをもっとこういう風にしたい」とかよく話してますね。
ーDIYってクセになるというか、実際にやって「出来る」っていうのを体験してしまうと、アレコレと手を出したくなってきますよね。
千島団地に住む方にとって「壁紙屋本舗LAB」はどのような存在ですか?
僕もそうだったんですけど、「さぁDIYしていいよ!」と言われても、なかなか初めての場合イメージがわきにくいと思うんですよ。でもLABがあることで、どういう風に作っていくのかイメージがわきやすいのがいいですよね。「千島団地」に住むうえでの魅力になってると思います。
目指すのは”シンプルで自由な暮らし”
ーご家族で大切にしている暮らしの信条やこだわりはありますか?
部屋を見てもらったらわかると思うんですけど、僕らほんとにモノを持たないんですよ。シンプルに暮らしたいので余計なものは集めないようにしてます。集めたりしたこともあったけど結局いらなかったので。無駄な物は買わないけど、欲しいものにはガツンと投入したいですね。
夢はキャンピングカーを持つことで、これについてはよく家族で話しています。平日は旅をしながらどこでもできる仕事とか曲作りとかして、週末はライブ活動、そんな暮らしが目標です。日本も世界もいろんなところに行ってみたいですね。
ーKIMさんご家族の目指す暮らし方が実現することを、陰ながら応援しています。本日は自宅のご紹介、また、いろいろなお話しを聞かせていただきありがとうございました!
KIMさん宅のリノベーションに使った商品まとめ
リビングの壁紙:輸入壁紙 NLXL SCRAPWOOD ピート・ヘイン・イーク PHE-08
オランダ発の輸入壁紙。壁紙ブランド・NLXLとPiet Hein Eek(ピート へイン イーク)がコラボした人気のSCRAPWOODシリーズから、合わせやすい白の木目をチョイス。
KIMさんのお宅では横貼りで使用しています。
リビングのアクセントクロス:本物の生地でできた デニム粘着シート
ヴィンテージな風合いのリメイクにおすすめのサイズ(横巾約42cm×30cm/約A3サイズ)の粘着シート。加工次第でいろんなテイストを楽しめます!
KIMさんのお宅ではリビングの角のアクセントクロスとして使用。インディゴブルーのソファーと相性がいいですね♪
仕切り戸の壁紙:アクメファニチャー SBA-3098
オリジナルとヴィンテージ、双方の個性と魅力をミックスさせた独自の世界観を提案するACME Furniture(アクメ ファニチャー)。
1950年代に流行したアメリカのヴィンテージファブリックをモチーフに、癒しのグリーンをモダンにアレンジしたデザインです。
KIMさんのお宅では、リビングとキッチンの間にある3枚の仕切り戸に使用。シンプルなテイストの中でステキなアクセントになっています。
床材:クッションフロア ハードタイプ SS3304
土足でも使用できる丈夫なハードタイプのクッションフロアです。板巾に変化をつけたランダムなダークブラウンのオーク柄。部屋全体を落ち着いた印象に。
お宅訪問を終えて
必要なモノが最小限に配置されたお部屋は、ただシンプルというだけでなく、各所にワクワクするこだわりがちりばめられているように感じました。
一番感じたのは、KIMさんが”おもしろそう”という感覚を大切に日々生活されているんだということ。
「おもろいことを全力で」を社訓とする壁紙屋本舗との出会いも、必然だったのかもしれません。
元々DIYをしたくてこの物件に辿りついたわけではなく、たまたま出会った”親切な”スタッフ、勧められて知った”DIY物件”、なんかおもしろそう、おもしろい展開が生まれていきそうという”ワクワク”感を素直に大切にされているのが伝わってきました。
”リノベしたことで、少しずついろんなことのクオリティーが上がってくる”というお話がとても印象的でした。DIYやセルフリノベーションは、単に部屋を手直ししたり好みの空間に変えるという作業ではなく、自分の暮らしに愛着を持てるきっかけになるのかもしれないと感じました。
改めましてKIMさん、本当にありがとうございました!
まとめ
【前編】・【後編】と2本立てで、壁紙屋本舗のショールーム「壁紙屋本舗LAB」にまつわるお話をお届けしてまいりました。
近隣の方にはぜひお気軽に足を運んでいただけたらうれしいですし、遠方の方にも「こんな場所があるんだ!」と少しでもワクワクしてもらえたならうれしいです。
皆さまそれぞれに、違った暮らしの形があると思います。
共通するのはおそらく、今の暮らしがそのまま一生続くわけではなく、どこかで変化がおとずれるということ。住む場所は変わらなくても、一緒に住むメンバーが変わったり、年齢を重ねて居場所に対する優先順位が変わったり。
今回LABについてご紹介しKIM MORRISさんのお宅を訪ねるなかで、たとえ住む場所が変わっても、家族構成や生活スタイルや好みが変わっても、またイチから自分のペースで始められるというのがセルフリノベーションの魅力なのかもしれないと感じました。
新しい暮らしの形を提案する「大正区とURさん、そして壁紙屋本舗の物語」は、これからも時代や皆さまのニーズにお応えしながら、ますますおもしろい暮らしの形を求め、ワクワクを発信しながら続いていきます。
どうぞご期待ください!