公開日:2023.02.28
例えば、
やっと実現した一人暮らしのワンルーム。
家族やペットと過ごすリビング。
独立して立ち上げたカフェ。
自分の大切な場所を、自らの手で彩る人がいます。
そんな人々の暮らしを紹介する「壁紙と私」。
初回となる今回ご紹介するのは、壁紙屋本舗のスタッフ・松沢さんが一人で暮らす、1DKのお部屋。
動画付きの特別編でお届けします。
住人とお部屋の紹介
プロフィール
名前:松沢 和幸 年齢:27歳 職業:株式会社フィル(壁紙屋本舗)商品企画部 趣味:観葉植物、コーヒー、ゲーム 一言:スプラトゥーンにどハマり中。 |
間取り図 & ライフスタイル
住まい:賃貸マンション |
色にこだわった、僕の落ち着く空間
寒くも晴れ渡った、1月の某日。
大通りから少し外れた静かな路地にある松沢さんの自宅を訪ねました。
入社3年目に始めた、初めての一人暮らし。
「ここでだめならもう紹介できる物件はありません」と、不動産屋さんが音を上げる寸前に出会えたのがこの部屋です。
築5年の建物には、ドアの設えや外観の細部に築浅の雰囲気が漂っています。
期待に胸を膨らませスタートした新生活。
どんな暮らしをしているのでしょうか。
テーマカラーの3色
ー お部屋をぱっと見て伝わってくるのが、インテリアの統一感。
20代男性が暮らすワンルームに、こんな世界が広がっていることに驚きました。
部屋に何を求めるかって人それぞれだと思うんですけど、僕の場合は「落ち着く空間」をつくりたいと思いました。
好きなインテリアのテイストはいくつかあったんですが、落ち着けるかどうかという視点に絞ってインテリアの「色」を3つ決めたんです。
それが、グリーン・白・ベージュです。
まずは、植物のグリーン。
それに合わせて、白と、薄い木目のベージュがいいなと。
植物の「グリーン」に癒される
ー 寝室には、大小さまざまな植物が置かれていますね。
実は壁紙屋本舗でも、植物の水やりを任されている松沢さん。ほんとうに植物が好きなんですね。
自然の多い所で生まれ育ったせいか、植物があると癒されます。
いろんな種類があるので自宅に置く植物を選ぶのはすごく悩みましたが、やっぱり決め手は色ですかね。
あまり鮮やか過ぎないグリーンが好きです。
初めて買ったのは、モンステラ。
すごく丈夫な植物で、ちょっと元気がなくなってから水をやるくらいの方が強くなるんですよ。
逆に水をやりすぎると根腐れを起こしてしまうので、気が向いたときに水をやるくらいでちょうどいいんです。
ー 観葉植物以外に取り入れているグリーンのアイテムもありますか?
角に吊るしているのはフェイクグリーンです。
吊るせる植物も欲しかったんですが、水やりなど難しそうで育てる自信がなかったので、気軽に扱えるフェイクグリーンにしてみました。
ダイニングの壁に貼っているのは、植物のステッカーです。この部屋にも植物を置きたかったんですけど、窓もないしスペースもなくて。
こういう悩みを持つ人って結構多いんじゃないかと思うんですよね。
リアルな大きい植物のステッカーがあったらおもしろいんじゃないかなと、このステッカーを企画したんです。
これはプルメリアという植物で、実寸より大きいサイズで商品化しています。
ちょっとしたこだわりなんですけど、インテリアに馴染みやすいように、実際の色よりも葉っぱの彩度を落としました。
いくつかの商品を企画してみて「自分が好きだから」というだけでモノをつくってもだめだなということが分かってきました。
見た目も大事ですけど、このアイテムを求めている人にはこうした方が喜ばれるんじゃないかとか、もっと奥にあるメリット・デメリットを大切にできたらいいなと思っています。
寝室の壁には「白」い壁紙を
ー 元々部分的に黒いアクセントクロスが貼られていたという、寝室の壁。
こちらの壁にはどんなアレンジをしたのでしょうか。
白い壁の腰下の部分だけにペンキを塗っています。
賃貸なのになぜペンキが塗れているのかというと、元々貼ってあった壁紙の上に白い壁紙を貼ったからです。はがせるタイプののりで貼ったので、きれいにはがすことができます。
ペンキが下の壁に染みるのが心配だったので、壁紙の継ぎ目を5cmほど重ねて貼りました。
ペンキを塗っているときに、スタンダードすぎるのも面白くないなと思って、その場でアレンジしてライン状にアクセントを入れてみたんですよね。
ペンキの色はベージュだったんですが、日焼けの影響なのかわかりませんが、塗ったときよりもグリーンっぽい色になってきた気がします。
まあ、これはこれでアリかなと。
壁に飾っているバスケットは強力な粘着フックで支えているんですが、壁紙を貼っているからはがず時に傷つく心配をせずに使えていますね。
壁紙を貼ったことでアレンジできる幅が広がったなと思います。
床と天井にやさしい木目の「ベージュ」
ー 寝室の壁と床、ダイニングの床は木目系のデザインで統一されています。
これにも何かこだわりがありますか?
元々は、普通の白い天井でした。
インテリアをいろいろ見ていると、ちょっといい家って天井に木目を取り入れている家が多いんですよね。
部屋の雰囲気に合う、ナチュラルな木目の粘着シートを選びました。
天井を変えると、部屋の雰囲気が一気に変わりましたね。
高級感が出たかなと思います。
部屋の床は濃い色の木目だったんですが、その上から2種類のフロアタイルをヘリンボーン状に貼っています。
家具を置いてから床を変えるのは大変なので、ものを入れる前にやってしまうおうと、退社後の時間を使って少しずつ1週間くらいかけて貼りました。
会社でもフロアタイルは貼ったことがあるし、いけるだろうと思っていたんですが、、、甘かったです。
正直、もう一度同じことをやるとなったら尻込みしてしまうくらい大変でしたね。
フロアタイルは結構固いので、ちょっとしたサイズの調整にもかなり手こずりました。
でも、すごく大変だったんですけど、目に入るとやっぱりヘリンボーンにしてよかったなと思います。
ー そう言って、床に目を向けうれしそうに微笑む松沢さん。
苦労して実現したものほど、愛着もひとしおのようでした。
ダイニングの床にはパーケットのクッションフロアを貼りました。
木目デザインのクッションフロアは結構種類があるんですが、普通の木目だとおもしろくないなと。
少し変わったデザインが好きなので、普通じゃないけど奇抜すぎることもないパーケット柄を選びました。
ハーフサイズでコンパクトなので貼りやすかったです。
さらにコンパクトなサイズがあってもいいんじゃないかとか、自分で実際に使ってみることで色んな企画のアイデアが浮かんでくることもありますね。
照明のやわらかな灯り
ー 空間で印象的なのが、照明のやわらかな灯り。
部屋を見渡すといくつもの間接照明が置かれています。
自分が落ち着く空間をつくろうと考えたときに、照明は絶対に取り入れたいなと思いました。
大学でライティングデザイナーの長町志穂さんの講義を受ける機会があり、そこで聞いた「部屋全体に均一な光を当てる蛍光灯が、どれほどインテリアの雰囲気を壊しているか、逆にどんな光を当てれば魅力的な空間が作れるのか」という話をきっかけに、照明に興味を持つようになりました。
「照明で大事なのは光源ではなく、どこに光を当てるか」という話もあったのですが、光があたるところを選べるような照明ってあんまりないから、光をあてるスポットを調整できる寝室の天井照明も気に入っていますね。
家具の下には、LEDのテープライトを貼っています。
長さがだいぶ余ったので、そのまま花瓶に入れてアレンジしてみました。
ダイニングの照明は、初めて海外のサイトで買ったものです。
シェードの部分はラタンなんですけど、ラタンって木目ほどごつごつしくないけど自然素材らしさや抜け感があって好きなんですよね。
アクセントのアイテムで余白を楽しむ
白い壁のアクセントに貼ったポスター
ー シンプルな空間にも、壁や床にちょっとしたワンポイントを入れているのが印象的ですね。
ここの白い壁を何かしらで埋めたかったんですが、まだ壁紙を全面に貼るっていう気持ちにもならなくて。
でもとりあえず何か欲しいとなったときに、一番手軽だったのがこのアートポスターでした。
普通の紙のポスターだと額縁とかに入れたくなると思うんですけど、布っぽい質感の不織布なので、一枚だけで貼っても雰囲気として成り立つなと。
ご飯を食べたりコーヒー飲んでくつろいだりする場所なので、このデザインも気に入っています。
今後ここの壁をどうしようか考え中なんですけど、今僕が企画している壁紙の新デザインが商品化されたら貼ってみたいなと。
洗面所とかトイレとか、まだ手をつけていない空間の雰囲気も変えていきたいなと思っています。
玄関に取り入れたモノクロデザイン
ー テーマカラーを3色に絞りつつ、ところどころ違うテイストのアイテムも見受けられます。
落ち着く空間というテーマに沿って配色を決めたんですけど、実は元々、モノクロ系のインテリアにもすごく憧れがありました。
部屋中モノトーンにするとちょっと疲れてしまうかなと思ってやめたんですが、生活空間からちょっと切り離された玄関の床には好きなテイストを取り入れてみてもいいかなと。
帰ってきたときに好きな柄が目に入ると、やっぱりテンションが上がりますね。
ピース状の粘着シートを貼ったんですが、狭い空間でも貼りやすかったです。
元々の床の色が好きじゃなかったので上から貼れるというのもよかったし、傷に強い素材なので、靴でこすれても色がハゲたりしないのも気に入っています。
松沢さんにとって「壁紙」とは?
ー 「色」にこだわった空間づくりを楽しんでいる様子が伝わってきました。
最後に、松沢さんにとっての「壁紙」について聞いてみました。
元々は建築を学ぶために入った大学で、インテリアの魅力に触れたんです。
自分が考えたもので人を楽しませるという仕事に興味が湧いて、商品企画に携われたらいいなと思いフィルに入社しました。
仕事として毎日向き合うとなると、興味のあることでも飽きそうだなと感じていたのですが、面接を受けたときに「何かおもしろそう」と思ったんですよね。
僕の部屋では壁紙がメインというわけではないんですが、自分の好きなもの、好きな家具をより際立たせるために周囲の要素って重要だと思います。
店で見るとすごく気に入って買った家具などが、家に置くと「何か違う」と思う時ってあると思うんですけど、それは壁や床の色だったり照明の色などが大きく関係しているんですよね。
壁とか床を変えると、やっぱり買ってよかったなと思えるので。
実家にいるときとは、兄からのお下がりだとかその場にあるもので生活していたので、一人暮らしを始めてから部屋で過ごす感覚がすごく変わりました。
家でくつろいでいるときにふと壁や床が目に入ると、やっぱり自分が好きで選んだものっていいなと思うんですよね。
「壁紙と私」を動画で見る
「壁紙と私」の動画をYouTubeでご覧いただけます。