新感覚のパッチワーク壁紙「Hattan(ハッタン)」。
45cm角のピース状の壁紙を水に浸して貼るという、従来とはまったく異なる施工方法が話題のアイテムです。初心者でもきれいに貼れて・剥がせて・繰り返し使える、という夢のような三拍子!しかもデザイン豊富ときました。
おうち時間の活用アイテムとしてメディアでも大きく取り上げられ「●●の上には貼れますか?」というたくさんのお問い合わせをいただいております。
こちらの記事では、Hattanの貼れる下地・貼れない下地について、また剥がした後の剥がし跡について検証し、まとめました。
ホンポの社屋に見当たらない漆喰や砂壁といった壁はパネル上で再現。
この検証結果がすべてのケースに当てはまるわけではありませんが、Hattanをご検討くださっている皆さまのご参考になれば幸いです。
フリース(不織布)素材の裏に「貼ってはがせるのり」が加工され、水に浸すだけで貼れるようになりました。
旧タイプの素材は付属の粉のりで「のり液」を作り、それに浸して貼る方法。フリース(不織布)の素材自体にのりは加工されていませんでした。
※どちらのHattanものりの性質や粘着力に違いはありませんが、こちらの検証は旧タイプのHattanで行ったものになります。
Hattanの特徴と最適な下地
Hattanの特徴
Hattanは、45cm角の大きさの不織布(フリース)素材の壁紙です。
薄いフェルトのような素材で隠蔽性が低いので、濃い色味の壁や柄のある壁に貼ると下地が透けて見えることがあります。
最適な下地
上記の特徴をふまえると、最適な下地は白やベージュといった淡い色で、かつ無地の壁。特に、日本の住宅に広く使用されているビニール壁紙との相性が抜群です。
ただし、近年増えている「表面強化」や「汚れ防止」など表面がコーティングされている機能性壁紙には上手く接着しないことがあります。
コーティングの施されていない普通のビニール壁紙に貼って使用する場合、貼って剥がせて、繰り返し使用することができます。
機能性壁紙は通常のビニール壁紙に比べ表面が傷や汚れに強いといった特徴がありますが、一般的に見た目で判断するのは至難の技。
サンプル「ためしてHattan」で接着具合をお確かめいただくのが確実です。
Hattanの裏面に加工された「のり」について
Hattanの素材の裏面には「貼ってはがせるのり」が加工されています。全体を水に浸すことでのりの粘着力が戻り、切手のように貼ることができます。
加工されているのはポテグルという、フリース素材の壁紙を貼ってはがせるのりです。
加工されたのりは貼っても無くならないため、剥がしてまた水に浸し再利用することができます。
もし粘着力が弱まってきたときは、ポテグルを追加でご購入いただき、のり液を作って貼ることもできます。
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壁紙屋本舗オリジナルの、ジャガイモから生まれた「はがせる壁紙用粉のり」です。
手についても水でさっと洗い流すことができます。
施工に不向きな場所
水回り、お風呂場、湿度の高い場所、結露の生じやすい窓周り。
剥がれやカビの発生が懸念されますので、こういった場所への施工はお控えください。
Hattanを貼れる下地と剥がし跡
ここからは、実際に検証した結果をもとにまずは「貼れる下地」とその「剥がし跡」の状態をご紹介します。
- 検証は特定の素材・環境下での結果であり、すべてのケースに当てはまるとは限りません。
- 貼ってから剥がすまで1週間ほどの期間内で試しているため、経年後は異なる結果となる場合があります。
- 「貼れる=最適な下地」というわけではありません。それぞれの注意点も併せてご確認ください。
- 検証結果はご参考としていただき、接着の不安な場所へ施工する場合は必ずサンプルをご利用ください。
※貼れない下地はこちら>>
※貼り方を工夫したら貼れる下地はこちら>>
ビニール壁紙
ビニール壁紙とHattanの相性は抜群◎
接着も良く、きれいに剥がすことができます。
- 「表面強化」や「汚れ防止」など表面にコーティングが施されている機能性壁紙には上手く接着しないことがあります。
- 機能性壁紙は見た目での判断が難しいためサンプルを実際に貼ってお試しください。
ガラス
下地
表面の平滑なガラスに貼ってみました。
乾燥後
ちゃんと接着しています。光を完全に遮断しないので、ちょっとした目隠しにもよさそう◎
剥がしてみると
剥がすと抵抗なくぴろぴろと剥がれます。
一見きれいに見えますが…
剥がし跡
Hattanの縁の部分にうっすらとのりの跡が残りました。ガラスに残ったのりの跡は、水拭きできれいに落とすことができます。
- 凸凹網入りガラスのような表面がでこぼことしたガラスの場合は接着が弱くなる可能性があります。
- 接着は弱めなので、頻繁に触れるような場所への施工は向いていません。
- 結露の発生しやすい窓、浴室周りなど湿度の高い場所へ施工すると剥がれやカビの発生の原因となることがありますのでお控えください。
ベニヤ板
下地
ふすまの収納部などに多い無垢のベニヤ板に貼ってみました。
乾燥後
かなりしっかり接着しています。接着具合だけでいうと抜群◎
剥がしてみると
しっかり接着しているため少し力が要りますが、下地を傷つけることなく剥がれました。しかし…
剥がし跡
ベニヤ板にうっすらと水染みができていました。Hattanの縁のラインが浮き出ています。
またベニヤ板のアクが染み出て、Hattanの素材が全体的に黄色っぽくなってしまいました。
木材によるヤニ・アクの染み出し
木材のヤニやアクがHattanに染み出すと、このような色素沈着が起きます。
- Hattanの水分を吸収することによって、木材側に水染みができることがあります。
- 木材のヤニやアクがHattanの素材に染み出してくる可能性が非常に高いです。
- ベニヤ板にヤニ止めシーラーなどで下地処理をすることである程度抑えられますが、下処理をしても若干の染み出しが起きる可能性があります。
漆喰壁
下地
漆喰の塗り方を「フラット」と「コテ跡(凹凸)あり」に塗り分けて検証。
乾燥後
塗り方の違いによる接着の差は感じませんでした。
剥がし跡
あまり強くはないですがちゃんと接着しており、剥がし跡はこの通りきれいです。
- 塗り方による接着の大きな違いはありませんでしたが、漆喰の骨材の量等により接着具合が変わることが予想されます。
- シーラーやパテで下地処理を行うと、よりしっかりと貼ることができます。
砂壁
下地
和室や床の間に多い砂壁で検証してみました。
乾燥後
ちゃんと貼り付いています。
剥がしてみると
きれいに剥がせます。
剥がし跡
ただよく見るとHattanを貼っていた部分に、水染みによる色沈着が起きていました。
- シーラーやパテで下地処理を行うと、よりしっかりと貼ることができます。
Hattanを水に浸さなくても、そのままで砂壁にしっかり張り付いたという実例が何件か報告されています。
くっついたらラッキー程度の淡い期待を胸に、試しに乾いた状態で貼ってみるといいかもしれません。
※Hattanの折りジワは、アイロンの「中」程度の温度で伸ばすことができます。スチームを使うとのりが湧いてくるため使用しないでください。
実は今回の検証の際、汚れていた砂壁の塗り直しを行いました。
塗り直す前の砂壁には乾いた状態のHattanがしっかりと張り付いたのですが、同じ砂壁を使い同じように施工したにも関わらず、塗り直し後は貼り付かなくなりました。
何が要因なのか分かりませんが、実際に張り付いた例を確かめています。
繊維壁
※繊維壁の画像に見られる黄ばみ(色ムラ)は、繊維壁の下地であるパネル(ベニヤ板)のアクが染み出したものでHattanの施工による影響ではありません。
下地
昭和に建てられた家屋によくみられる「繊維壁」で検証。
乾燥後
ちゃんとくっついています。漆喰よりも接着具合が良い印象。
剥がし跡
短期間での検証では水染みも起きませんでした。
- 繊維壁の種類によっては水染みが起きる可能性があります。
- 表面が劣化している場合は、シーラーやパテで下地処理を行ってから貼ることをおすすめします。
コンクリート
下地
コンクリートの内壁にHattanを貼って検証しました。
乾燥後
かなり表面の荒いコンクリート。しっかりとくっついていました。
剥がし跡
水染みなど気になる剥がし跡も残っていません。
- 接着具合は良好、レンガや凹凸のある素材などを含め、石素材との相性は良いです。
- コンクリートの元の色や素材によっては水染みが残る可能性があります。
タイル
下地
表面がつるつる&目地のあるタイルで検証。
乾燥後
ちゃんとくっついています。目地が少し透けているのも何だか良い感じ。
剥がし跡
とてもきれいに剥がれました。剥がし跡も全然気になりません。
- Hattanの素材が薄いので、目地のラインは透ける可能性が高いです。
- 湿度の高い場所や火気を扱う場所での使用はお控えください。
Hattanを貼れない下地
貼れる下地を確認したところで、次は「貼れない下地」。見事なまでに「貼れない」結果となりました。
機能性壁紙
下地
ビニール壁紙でメジャーな織物調のデザインの機能性壁紙に貼ってみました。見た目は一般的なビニール壁紙と同じ。
乾燥後
貼った直後はくっついていましたが、乾燥後はきれいさっぱり落下!
まったく貼り付きませんでした。
- 機能性壁紙を見分けるのは難しいので、どういった種類の壁紙が貼られているか分からない場合は、事前にサンプルでお試しください。
最適な下地であるビニール壁紙と見た目が同じだけに厄介ですが、こういったタイプのビニール壁紙があるということを知っておくだけでも「まったく貼り付かないのに大量に買ってしまった…」という致命的な事態は避けれますね。
今回の検証に使用した機能性壁紙は廃番商品のためご案内できないですが「抗菌・汚れ防止・表面強化」の機能が表示されていました。
貼り方を工夫したら貼れる下地
水に浸す通常の施工はおすすめできないけれど「別の方法でなら貼れる下地」もご紹介します。
ふすま
ふすまへのHattanの施工についてはお問い合わせが多く、以下の関連記事で詳しくご紹介しています。
どういった方法で施工できるのか簡単にご紹介しておくと…
ただし!Hattanは下地が透けやすいので、はっきりした柄のふすま紙の上にはおすすめできません。
1枚だけ、もしくは部分的に貼るのであれば、通常の水に浸す方法でも貼れますが、水に浸したHattanをふすまの全面に貼ると、ふすま紙が水分を吸収し反りが起きたり剥がれる場合があります。
壁紙用の両面テープは幅広でしっかり貼り付くのでおすすめです。
両面テープで施工
Hattanの裏面の四辺に壁紙用両面テープを貼ります。
コツ
割り付けを考えてふすまに貼ります。まず一辺を固定して、ぴんと張るようにして貼るときれいに貼れます。
- 紙製のふすま紙の上にHattanを貼ると、原状回復できません。
- Hattanの折りジワは水に浸す過程で伸びますが、両面テープで施工する場合はアイロンがおすすめ。
「中」程度の温度でシワを伸ばせます。スチームを使うとのりが湧いてくるため使用しないでください。
同じ部分に繰り返しあてると素材が伸びたり表面にダマができることがあります。 - 壁紙用両面テープは粘着力が強いため、剥がす際にふすまの下地だけでなくHattanの素材を傷めることがあり、再利用は難しくなります。
まとめ
最後にもう一度かんたんに表でおさらい!
下地の種類や施工環境、経年などにより異なる結果となることがあります。
○:接着する/きれいに剥がれる
△:接着するが貼り付きが弱め/若干跡が残る
×:接着しない/跡が残る
素材 | 接着具合 | 剥がし跡 | 注意・メモ |
---|---|---|---|
ビニール壁紙 | ○ | ○ | 機能性壁紙には貼れない場合がある |
機能性壁紙 | × | ー | 特に汚れ防止・表面強化などの機能に注意 |
平滑なガラス | △ | △ | のりの跡が少し残るが、水拭きで落ちる |
タイル | △ | ○ | 下地の状態によっては接着が弱い可能性あり |
ベニヤ | ○ | × | 水染みが残る Hattanにヤニ・アクが染み出る |
コンクリート | ○ | ○ | 下地の状態によっては接着が弱い可能性あり |
漆喰壁 | △ | ○ | 下地の状態によっては接着が弱い可能性あり |
砂壁 | △ | △ | 水染みが残る 下地の状態によっては接着が弱い可能性あり |
繊維壁 | △ | ○ | 下地の状態によっては接着が弱い可能性あり |
ふすま | ○ | × | 水ではなく両面テープを使うと施工できる 紙製のふすま紙は原状回復できない |
-
ペンキの塗装された下地
基盤となる素材がHattanを貼れる素材であれば貼ることが可能。ただ、剥がす際に塗膜を傷める可能性があります。 -
鏡、メラミン化粧板、プラスチックなど
ガラスに貼れたことから、同様に表面のつるつるとした素材にも貼れることが予想されます。 -
土壁
砂壁や繊維壁と同様に、接着は弱いけれど貼れることが予想されます。
以上が、パッチワーク壁紙「Hattan(ハッタン)」の、貼れる下地・貼れない下地のまとめでした。
誰でも気軽に取り入れられる画期的な壁紙。
貼れるかどうかをお確かめのうえ、さまざまなシーンでご活用ください。