アボカドで壁紙を染めたらピンクになった話

sdgs_vol.2_eyecatch02 今日と明日と未来とホンポ

皆さんこんにちは。
壁紙屋本舗のイシダです。

おうち時間が長い今だからこそ、料理を楽しんでいる人も多いのではないでしょうか。
料理をするのは楽しいですが、料理をした後、三角コーナーをふと見ると生ごみがたくさん…。
その大半が、野菜の皮や芯だったりします。
いつも何気なく捨てていますが、少しもったいないと思っていました。

近年は食材のロスや食料廃棄などの問題を解決すべく、余った果物の皮を利用してカバンを作ったり廃棄する野菜からクレヨンを作ったりと、新たな商品に生まれ変わらせる取り組みが広がってきているようです。

私も自分が普段捨てている野菜の皮たちを使って何かできないかと考えるようになりました。
今回は、こんなきっかけから始まった「野菜で壁紙を染めた話」をご紹介したいと思います。

植物を使った草木染め

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野菜を何かに利用できないかと調べていくうちに「草木染め」という伝統的な方法を見つけました。

草木染めとは、野菜や果物、花といった自然の植物が持つ色を使って行う染めもののことで、日本では縄文時代から行われてきたとされています。
染織家で作家の山崎 斌(やまざきあきら)さんが、1930年に展覧会を開いた際に化学染料による染色と区別するために「草木染め」と命名したそうです。

ちなみに、ホンポには「ボタニカラーズ」という、草木染めの色をヒントに作られたペンキのシリーズがあります。草木染めについて詳しく知りませんでしたが、こんな淡くてやさしい色に染まりそうなイメージは持っていました。

手順も簡単でおもしろそうなので、普段捨てている野菜の皮たちを生かすことができるかもしれないと思い、草木染に挑戦してみることにしました!

どんな布を、どんな野菜で染めるのか

草木染は天然の染料を使うので、本来は綿、麻、シルクなどの天然素材の布しか染められないようです。でも、例外的にレーヨンやテンセル、キュプラなど、パルプや綿といった植物を由来とする再生繊維も染めることができるよう。

ということは…!
壁紙屋本舗のオリジナル壁紙「Hattan(ハッタン)」は、素材の60%にレーヨンが使われているので染めることができるかもしれません。
上手く染まれば、自分で染めた好きな色の壁紙が貼れるということです!

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野菜は、意外な色に染まると聞いて興味を持ったアボカドの皮を使ってみることにしました。
販売されている Hattan(ハッタン) にはすべてデザインが印刷されていますが、製造過程でできる白い端切れの部分を使って実験します。

用意するもの

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・ハッタン(約40cm×30cm、印刷の端切れ)
・アボカド 2個
・水 1.5L
・ミョウバン(色素を安定させるために使用)
・鍋
・ザル
・ボール

草木染に必要な道具は、だいたい家にありそうなもので揃います。
ミョウバンは、スーパーなどで手に入れることができます。茄子のお漬物の色を良くしたり、野菜のあく抜きなどに使われるそうです。
ドラッグストアでも販売されているとのこと。

私は近くのスーパーで手に入れた「焼みょうばん」を使いました。

草木染の手順

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  1. 実を取り除いたアボカドの皮・種を洗い、皮は適当な大きさにちぎります。
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  1. 鍋にアボカドの皮・種を入れ、1.5Lの水を加えて火にかけます。沸騰して20分が経ったら火を止め、30分放置します。
  2. ※ゴミ取りネットやお茶パックに入れて煮出すと、皮などがバラバラにならず便利です。
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  1. 放置している間に、ハッタンを40度ほどのお湯につけておきます。こうすることで染まりやすくなります。
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  1. ザルの上にキッチンペーパーなどをひき、❷の液をこします。こした液はこんな感じ。 
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  1. こした液を鍋に戻し、お湯につけていたハッタンの水気を絞って入れ、20分ほど煮ます。
  2. ※煮る際は放置せず時々かき混ぜるのがポイント。放置していると色むらの原因になることがあります。
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  1. 煮ている間に「焼きみょうばん」を使って布の色素を安定させるための媒染液を作ります。
    作り方はこちら >>
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  1. 煮たハッタンは一度水洗いし、軽く水気を切って❻の媒染液に15分ほどつけます。
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  1. 再度水洗いし、再び❺の液に5分ほどつけます。
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  1. 取り出したハッタンを色がでてこなくなるまで水洗いし、日陰で干します。私はお風呂場で干しました。

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完成!

 
アボカドの皮の見た目からは考えられない、きれいなピンク色に染まりました!
同じ液を使って2回染めましたが、煮詰める時間や媒染液に浸す時間によって色が変わります。2回目は煮る時に放置したせいで色むらになってしまいましたが、これはこれで味が出ていいなと思いました。

時間はかかりますが手順は簡単なので、初心者の私でも上手く染めることができました。
今回は手に入りやすいミョウバンを使って媒染液を作りましたが、媒染液一つを取ってもいろいろな種類があり、出る色合いも変わるようです。

染める布によっては上手く染まらない場合もあります。


媒染液の作り方

40度くらいのお湯1Lに対し、ミョウバン2gを入れて溶かします。
使用する布によって媒染液の必要量は変わります。
目安は染める布の量の30倍。
(例)100gの布を染める場合は、3Lのお湯にミョウバン6g。

 

ほかの野菜も試してみた

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おもしろかったので、他の野菜の皮や食べもののクズでも試してみました。
どの野菜で染めた色か分かりますか?

にんじん

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鮮やかなオレンジに染まると思ったにんじんは、ほとんど染まらず。しょんぼり。

茄子

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茄子は、赤みがかったグレーに。

 

玉ねぎ

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驚きの鮮やかなイエローに染まったのは、玉ねぎ。

コーヒー

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予想通りのコーヒー。

 
想像していた色と比べてどうでしょうか。

玉ねぎは、とってもきれいな黄色になりました。
草木染めでは定番の野菜らしく、初心者でも簡単に染めることができるみたいです。茄子やにんじんなども紫やオレンジ色に染まるかなと思ったのですが、あまり染まりませんでした。
皮が少なかったのか、染める前のハッタンに私が誤ってお酢をかけてしまったからかもしれません…。

実験をしている気分で「これはどんな色に染まるだろう?」と考えながら色の変化をみるのはとても楽しかったです。
世界で一つしかない色に染まったという特別感や、自然のもので染めたという安心感もありました。
想像していたのとは違う色になったり、色の濃い野菜なのに全然染まらなかったりするのも草木染めの魅力だと思います。

野菜カレーと、おわりに

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ちなみに今回使用した野菜たちは、全部カレーの具材にして美味しくいただきました!

草木染は、これまで気がつかなかったことに目を向けるきっかけとなりました。
普段捨てていた野菜の皮たちが、草木染めでは最高の染料に生まれ変わり、これまで何気に捨てていたものたちも、視点を変えれば新しいものに生まれ変わらせることができるのかもしれないと思うようになりました。

今回は2枚しか染められませんでしたが、アボカドで染めた壁紙を壁一面に貼ってみたいです!

今回は2枚しか染められませんでしたが、アボカドで染めた壁紙を壁一面に貼ってみたいです!

壁紙が染められるということも驚きでした。
これはフリース100%の素材でできている Hattan だからできたことです。
例えば、貼っている壁紙のデザインに飽きた時に「染め直して再活用する」なんていうことができるのかも!?
野菜を使った草木染めは全体的に淡い色に染まりましたが、もっと深く濃い色に染める方法があれば印刷された Hattan も染めることができそうです。
もっといろいろ試してみたくなりました!

植物の可能性は無限大です!
ホンポでは、もっと環境負荷の少ない壁紙を作れないか、素材そのものを見直したり、使い古した壁紙の活用法なども考えています。

9月に発売した FLAXWALLPAPER は「亜麻」という植物から作られた、100%自然由来の壁紙です。

壁にもちょっと、地球にやさしい選択を|FLAX WALLPAPER(フラックスウォールペーパー)

フリースも従来のビニール壁紙に比べると環境負荷の少ない素材ですが、亜麻壁紙はなんと土に還ることができます。
疑っているわけではありませんが、そのうちホンポの庭に埋めて実験してみようと思っています。

これからも、植物と壁紙の可能性をもっと探していきたいと思います!

 
 

イシダ
profile
好きな食べ物はお米。今回作ったカレーは、大盛り3杯を毎日食べていました。
たくさん食べることが好きなので、大食い系Youteberを目指していた時期もありました。