公開日:2024.09.13
日本の素晴らしいアーティストやデザイナーと手を組み、新しい MADE IN JAPAN の壁紙を世界へ発信する壁紙ブランドWALLTZ(ウォルツ)。
「WALLTZ’s CREATOR」では、WALLTZに所属するクリエイターの活動などをご紹介します。
初回となる今回は、いくらまりえさんの活動をご紹介。
今年の夏が始まったころ「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」のメインビジュアルに、いくらさんの作品が選定されたとの知らせを受けました。
そこで、滞在制作の現場である「ROKKO森の音ミュージアム」にお邪魔してお話しを伺ってきました。
CREATOR's PROFILE | いくらまりえ
いくらまりえ|Ikura Marie
1986年 神奈川県出身、東京都在住
2010年 多摩美術大学絵画学科油画専攻卒
主な展示歴
2023年 「YAMANOTE LINE MUSEUM」上野駅(東京)
2023年 「中之条ビエンナーレ国際現代芸術祭」(群馬)
2024年 個展「沼地湖町」こくみん共済coopホール/スペース・ゼロ(東京)
2024年 「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」メインビジュアル(兵庫)
Concept
空間全体を使い、時間を描き留めるように筆の軌跡を重ねます。
創作の原点となったのは「今」に夢中になった子どもの頃の砂遊び。これが、制作プロセスそのものに重きを置く作風へとつながっています。
実家は幼稚園でした。
記憶にある最初の作品は、その砂場で作った、お団子山でした。
楽しくて楽しくて、無我夢中で作って、過ぎていく時間や無くなっていくものに抗うように、生ききっていた姿に強く憧れています。
自分はまだあの砂場にいて、今は無我夢中に絵を描いているのかもしれません。
@ikura_marie
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondとは
神戸六甲ミーツ・アートは、神戸・六甲山上で毎年開催される現代アートの芸術祭です。
2010年のスタートから今年で15回目を迎え、これまでに延べ520組以上のアーティストが参加しました。
日常を少し離れ、神戸を象徴する山、六甲山の魅力に触れながら旅をするように、さまざまなアートと出会う場を生み出しています。
【会期】2024年8月24日(土)~11月24日(日)
詳しくは、神戸六甲ミーツ・アートのホームページでご確認ください。
公式HP:https://rokkomeetsart.jp/
ROKKO森の音ミュージアムを舞台に
今回、制作の舞台となったのは「ROKKO森の音ミュージアム」。
もともとはオルゴールなどの自動演奏楽器をコレクションする博物館として開館し、2021年7月に、現在の「ROKKO森の音ミュージアム」としてリニューアルオープンしました。六甲山の四季折々の自然の表情と「音」にまつわる展示を楽しめるナチュラルガーデンがあるとても素敵な会場です。
ROKKO森の音ミュージアム
公式HP:https://www.rokkosan.com/museum/
滞在制作の現場から
残暑厳しい8月の某日。
電車とケーブルカーとバスを乗り継いで到着した「ROKKO森の音ミュージアム」。
素晴らしい植栽のなかにあるミュージアムの庭に足を踏み入れると、取材メンバーから「涼しい!」の声が漏れました。
昨日のゲリラ豪雨の名残もあり、地面はまだ少し濡れています。
▲「ROKKO森の音ミュージアム」内、SIKIガーデンの散策路を進むと看板が。
▲滞在制作されているのはガーデンの奥まったところにある、木々に囲まれた「いくらまりえのアトリエ」。
現場に到着。
いくらさんはここで朝8時から制作されているとのこと。
「作業しながらで大丈夫です!」とありがたいお言葉を頂戴し、早速お話しを伺います。
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondへの参加について
ー 今回、神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondに参加されたきっかけについてお聞かせください。
昨年参加した群馬での「中之条ビエンナーレ国際芸術祭」での作品を、神戸六甲ミーツ・アートの方が見てくださったことがきっかけで、招待いただきました。
ー 滞在制作にあたり、コンセプトは決めておられましたか。
タイトルやイメージはお伝えしていますが、具体的に描くものやコンセプトを決めているわけではありません。私の実家が幼稚園だったのですが、夢中で砂場遊びを続けていました。その頃のように、何って決めずに遊んでいる感覚で描いています。
ー どのようなイメージの作品になるでしょうか。
今回のメインビジュアルは、森の中で風になびく作品が手招きをしているように見えて。完成した絵を見てほしいというより、時間とか風とかが一緒に作るその瞬間にしか見れないものを作れたらと思っています。
▲実家が幼稚園だったいくらさんは「砂場遊びをする感覚で絵を描く」。
色選びや道具について
ー 色使いがとても素敵ですが、色選びについてお聞かせください。
私の好きな4色があって。
これがあれば、一旦何も考えずに描き始められます。
他の色を使うこともありますが、ほとんどこの4色で描いています。
最強4色です!
▲いくらさん最強の4色(こげ茶、青、黄土色、茶色)
▲ビニールテープでグルグルと巻かれた、いくらさんお手製のロング絵筆。
2本合体させてさらにロングにもできる。
▲二刀流もお手のもの。ずっと描いてると手が上がらなくなりそう、との問いかけに「筋力はめちゃくちゃあるんで!」と笑ういくらさん。
キャンバスの布について
ー キャンバスにされている布はどういった素材ですか。
使っている布はポリエステルです。
にじみが結構出るので、人によってはすごく使いにくい素材だと思います。
色を混ぜて載せても色によってにじんだり、にじまなかったり。同じことをやっても同じ感じにならなかったりするんですが、それを面白がって使っています。
ー 風になびく布に描くのは難しそうに感じます。
布が風になびく中で描くのが楽しいというか。自分でコントロールできないのが一緒に遊んでる感じがしていてすごく楽しいんです。
▲色のにじみ具合はお任せ。その時々によってにじみ方が変わる。
▲屋外での制作は自然との共同作業。
ゆらゆらと風になびく布にも動じることなく色を載せていく。
▲インド綿のプリント生地のように洗濯ができるので、雨に濡れても大丈夫なんだとか。
▲取材に伺った時は4枚の作品を描かれており、滞在期間中に全部で24枚の作品を手掛ける予定とのこと。
真夏の屋外での制作を少し心配していましたが、六甲山は過ごしやすく、大きな木の木陰で口笛を吹きながら作業を進めるいくらさんがとても楽しそうで、見ている私たちも楽しい気持ちになりました。
自然の中でアートが生まれる瞬間を間近で見られるなんて!
とても素晴らしい貴重な時間を取材することができました。
▲現場を後にする私たちを見送るチャーミングないくらさん。
完成後の会場の様子
後日、会期がスタートした「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」の会場を再訪させていただきました。
完成したいくらさんの作品が、六甲の自然と融合して、そこにあるのが当たり前のように存在していました。
▲六甲の爽やかな風に吹かれて、いくらさんの絵が手招きしているよう。
「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」の会期中、秋には一部作品を入れ替える予定もあるとのことなので、季節によって変わる作品を楽しめます。
会場にある「いくらまりえのアトリエ」で、制作するいくらさんと出会えるかもしれません。
動画で見る制作風景
神戸六甲ミーツ・アート2024 beyondでのいくらまりえさんの制作風景は、YouTubeでもご覧いただけます。WALLTZでの取り扱い商品|いくらまりえさんの壁紙
WALLTZでは、いくらまりえさんデザインの壁紙を取り扱っています。詳しくは、以下の商品ページよりご確認ください。
制作・撮影/株式会社フィル WALLTZチーム
2018年よりWALLTZを担当。
家では保護猫きょうだいからのおしりポンポン要求に応える日々。
引っ掻きキズのある壁紙の貼り替えを検討中。
アート、ファッション、レトロ建築好き。