物語を本格的に読むようになったのは中学生の頃です。
何年生かは忘れてしまいましたが、国語の教科書に書かれていたある文学の一節に強く興味を惹かれたのが始まりだったように思います。
絵もないのに、文字だけで物語の世界へ引き込まれていく感覚は、当時の私にはとても衝撃でした。
結局その小説は当時の私には難しく、図書館で借りたものの本筋や作者の意図は理解しきれず終わってしまいました。
しかしそこから、自分の生活にはない、夢中になれる物語を求めて本を読み漁る日々が始まりました。
田舎に住んでいたので、通学のバスを逃せば家まで片道7キロぐらい。今ではあまりよろしくありませんが、二宮金次郎のように本を読みながら田んぼ道を歩いて帰っていました。
スマホなんてない時代だったので、知らない漢字があれば辞書で調べ、そこでまた漢字の意味や使い方を知って面白さを見出し、また本を読み…を繰り返していました。
ファンタジー、ミステリー、エッセイ、ホラー、歴史、興味が湧いたものは片っ端から読みまくりました。
結構な数を読んでいたものの、不思議なことに学生ならではの読書感想文なんかは不得手で、私には文才がないんだなあ…と中学生ながら薄ぼんやりと悟った思ひ出。
それが今やコラムやメルマガを書いているんですから人生って不思議です。(文才は相変わらずですが)
思春期ならではの一時のハマりかと思いきや、高校になっても、家を出て一人暮らしを始めても、本を読むということは一つの習慣として身に沁み込んでいました。
田舎を飛び出し、だれも知らぬ地で生活を始めても、本と音楽があれば大体OK!イエス、ハッピー!(語彙力乏しいですね。)今思えば、ちょっと大丈夫かな?というぐらい閉じていましたが、類は友を呼ぶものですね。
気が付けば本の貸し借りをする友達ができ、読んだことのなかったジャンルに導かれ、狭いワンルームに増えていく本たち。知らなかった土地も、馴染みの書店が出来たころにはすっかり住み心地の良い第二の故郷になっていました。
今では電子書籍が当たり前の時代になっていますが、やっぱり紙媒体での本が好きです。たまっていく本たちをみれば、その時々の思い出を感じれるような気持ちになります。
本によって違う紙の質感とか装丁、ドキドキしながら1ページ1ページめくる感触、あと少しで終わってしまう寂しさとか、読み終わった後のパタンと閉じる瞬間。本棚に仕舞われ、部屋の一員として再び読まれるまでひっそりとした存在感を放っているところとか。
そして憧れる、壁一面を覆うたくさんの本。
図書館のような、少し雑多な感じも親しみやすくて良いですし、映画やドラマに出てくるような美しく重厚な本たちが整列している様も素敵ですよね。
あとどれくらい読めば、部屋を覆いつくすのかは未知数ですが、今日も今日とて眠る前のいっとき、別の誰かの物語へお邪魔しようと思います。
気分をすっきりさせたいときに読む本は、よしもとばなな著 「キッチン」。
中学時代に衝撃を受けた小説は芥川龍之介の「羅生門」。大人になってから改めて読みなおし、マセてたなあ…としみじみ思いました。
みなさんのお気に入りの本も、ぜひお教えくださいね。